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西野I邸

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□はじまり


自宅以来、初めての西野の住宅計画です。
敷地は発寒川河川敷公園に100Mで、川こそ直接は見えませんが、
川向うの崖地の緑を南西の方角に望む、静かな住宅街の一角に
あります。かつて、自分の家の土地探しに歩き回った地域であり、
いまは、毎朝の愛犬の散歩コースでもあるので、とても馴染み深い
場所でもあります。この地域は、40年ほど前から住宅地として分譲
されたこともあり、敷地割もユッタリとしています。

ご家族構成はご夫婦と中学2年の長男と就学前の長女の4人です。
完成は長男の高校入学までにということなので、計画の時間は
タップリとあります。

100坪をこえる敷地ですが、奥行きが間口の2倍ほどあり、奥の
1/3ほどが斜面になっていて、隣地は4Mほど高くなっています。
《この北斜面をどう活かすか》 が今回のテーマになりそうです。

□敷地写真


▲夏の敷地                     ▲冬の敷地
□基本計画(09.06)


南東入りの敷地なので、道路からなるべく奥に建てて庭を確保する、
という配置は当初から変わりませんでしたが、北の斜面を考慮すると、
敷地の真ん中に家が建つことになります。
その結果、《南の庭》と《北の庭》が出来ることになります。
《北庭》は余り一般的ではありませんが、庭としてはとても良い条件が
揃っているのです。それも、今回のように昇り斜面になっていると、
一日中、陽の当たる明るい庭になるのです。その明るい庭を、北面の
窓越しに見るのですから、とても奇麗に見えること間違いない、
という訳です。道路際には車庫と物置を配置し、家と繋ぎ、適度な
プライバシーを保ち、かつ、庭とすまいに対して威圧感がないような
配慮をしました。限られたスペースと熱環境に配慮して、住空間は
出来る限りコンパクトにすることを目指しました。
母屋を道路に平行に置く配置と、南に振って置く配置の2案を検討しました。


◆計画案A


◆模型

▲前面道路より                    ▲建物の配置


◆計画案B


◆模型

▲前面道路より                    ▲建物の配置

□検討の結果(10.03.30)


検討の結果、平行に置く案の方は、母屋を奥の方まで寄せることが
出来るので、《南庭》を広く確保でき、一方、南に振る案の方は、
《南庭》は狭くなりますが《北庭》に三角スペースが確保され、
見るだけの庭ではなく、家庭菜園やコンポスト置場、さらには
洗濯干場といったサービスヤードとしても利用可能になるという
ことが判りました。そこで、この敷地の特性を活かすB案にする
ことに決まりました。屋根は日照を妨げず、日光を奥の方まで
いれるような形状を検討しました。


▲南庭側                       ▲西側

▲北側斜面越しに望む               ▲東側

▲1階内部                      ▲2階内部


□着工までの申請業務の経緯(10.09.28)

 
 基本計画が決まり、実施計画が始まりました。
この計画は、国交省の推奨する「北方型住宅ECOプラス」
の補助金200万円と住宅金融支援機構の「フラット35」S
の融資を受ける性能を有する設計です。
 「フラット35」は以前に受けたことがありますが、
「北方型住宅ECOプラス」は初めての挑戦です。
目標基準は大きく分けて四つあります。

@長寿命:耐久性・耐用性・維持管理の容易さ
A安心・健康:高齢社会への対応・健康で快適な室内空間
B環境との共生:省エネ・環境負荷の低減・敷地内の雪処理・美しい街並み
C地域らしさ:地域資源の活用

 この基準を考慮しながら実施設計を進めました。
具体的な数値基準は、耐久性:耐震等級2以上と
環境共生:C値(気密)1.0以下Q値(断熱)1.3以下です。

@木造在来工法で耐震等級2を証明するために構造計算をしました。
A水廻りの廊下の幅が7p足りずに調整したが、
 その他は、アルクムの標準設計でクリアする。
BQ値1.3は、アルクムの標準設計より高いので、
 壁の付加断熱と屋根の断熱を強化し、
 その他はアルクム標準設計でクリアする。
C今回は外壁を道産カラマツではなく塗壁にしたのと、
構造計画上、2階床と天井に道産材を使えなかったので、
構造材を道産材対応することにする。

 以上、書き連ねると一見スムーズに進行したように見えますが、
検査機関の対応も、マニュアルが余り定まってないのか、とにかく、
やり取りに時間が掛かりました。
 Aの廊下の幅も、昔の内地の真壁工法を想定した基準になっているので、
現在の大壁工法に適合しなかったり、オープンな階段の段板の間の寸法を、
手摺の間の寸法を準用する、といった、指導する方も戸惑うような指導に終始しました。
 結局、数値基準のないその他の項目(安心・健康・快適・美しい街並み)
に関する指導は全くありませんでした。
これで《理想的な北方型住宅》が出来上がるのか?という疑問が残りました。
 『確認申請』『長期優良住宅』『北方型住宅ECOプラス』のそれぞれの
申請・受理を3回繰り返し、全て終了し、着工するのに3カ月掛かりました。
満身創痍(?)になりながらも、なんとか、9月後半に着工できました。
 Iさん、お待ちどうさまです!!!!!。


△地鎮祭

△矩形図(申請に必要な基準に対する特記事項を多数記載)


□工事開始(10.09.07〜10.07)

 
 工事が開始されると、敷地の様子が、刻々と変化していきます。
まず、建物の位置と高さを決める遣り方をしてから土工事(穴掘?)をします。
深さは凍結深度といって、冬でも零下にならない深さまで掘るのですが、
今回は、地盤調査により石混じりの地盤まで基礎を延ばす設計なので、
通常の60p以上掘り下げました。実際、調査の結果通り7、80センチ掘ると、
大小の石が混じる安定した地盤が確認出来ました。


△遣り方(09/07)


△土工事(09/23)

その地盤に厚さ5pのコンクリート(なぜか捨コンといいます)を
敷均してから基礎の位置を確定して、鉄筋を組むのです。



△捨てコン工事(09/25)

 今回は基礎の外に断熱材を打込むため、型枠と一緒に断熱工事を行います。
それと同時に、電気・設備の配管経路を打合せ、工事に反映させるのです。
それらがすべてセットされたことを確認し、先週末、コンクリートを打設し、
4日間の養生を経て、週明けに型枠を解体してコンクリート工事の終了です。




△基礎型枠工事(10/02)



△基礎コンクリート打設(10/07)

 これだけを見ても、建築工事というのは、
緊密なチームプレイが必要なことを実感します。
 木工事に入ると、もっとたくさんの業種が参加します。
見えなくなる基礎も大事ですが、これからは直接、
目や体に触れる工事が増えるので、綿密な打ち合わせとチームワーク
が求められるのです。

□木工事(10.11.05)
 
 木工事が始まりました。建物軸組が組まれ、リビングの吹抜や
内部空間が形になってきました。
 これから工事は上棟式に向け屋根工事・木製サッシュ取付工事と
進んで行きます。

△木工事(建て方)前面道路より全景

△木工事、車庫内部

△木工事、リビングの吹抜部分
□模型写真(10.11.12)

 実施図面に合わせて模型をつくりました。
カーポートや開口部・ロフトの形状の変更し、
外壁の塗り壁(白)とカーポートの下見板張り・屋根
・ウッドデッキ・木製サッシュ・薪ストーブの煙突に
素材に合わせた色紙を張りました。


▲南側・前面道路側                ▲南庭側

▲西側                        ▲北側

▲北側                        ▲東側

▲内部(南庭側よりリビングに光が入る)    ▲2階各個室と上部スノコ状のキャットウォーク

▲2階廊下には吹抜に面した本棚・ベンチを設置▲カーポート内観
□仕上げ色(10.11.13)

 仕上げサンプルを参考に決めていただきました。
外壁の塗り壁は白色系、屋根はブラック、木製サッシュはこげ茶、
車庫部分の外壁は板張りは茶色系です。
 内部の仕上げ色は、イメージをお伝えし、ただいまサンプル製作中
サンプルが出来次第、フローリング・柱・天井材等の仕上げ色を打合せします。



▲立面図にて外部仕上げ色をプレゼン      ▲車庫外壁

▲内観パースにて内部仕上げ色イメージ
□木工事(10.11.13)

 引き続き木工事が進んでいます。
柱や梁に補強の金物を設置し、構造壁となる壁に筋交い
を入れています。
 また、屋根工事も登り梁に合板が張られ、外側には気密シートを
張っています。
 柱・梁のフレームの状態から面材が張られ少しずつ内部空間が
現れ始めました。
 今後、外壁下地や木製サッシュ取付工事、断熱工事へ進んでいきます。


△木工事(建て方)前面道路より全景

△リビングの吹抜部分               △リビングの登り梁と天井材の構造用合板

△屋根工事、気密シート施工中        △木構造(補強金物)

△構造壁(筋交い)                  △西隣地側の眺め 

△東隣地側の眺め                 △北隣地側の眺め
□上棟式(10.11.23)

 11月23日に上棟式が行われました。
神主さんを呼ばず、ご家族と現場関係者で行いました。


△上棟式の様子

△建物にお清めの塩をまいています。 

 現場は引き続き木工事・屋根工事が進んでいます。
内部の木造加工が徐々に形になってきました。
屋根は仕上がり、今後は現場に届いた木製サッシュを
取付けていきます。


△木工事(屋根下地)前面道路より全景

△1階リビングより南側庭の開口部の眺め

△内部木構造(筋交い)と天井には煙突穴   △1階リビングより2階を見上げる

△屋根工事前面道路より全景          △天窓の外観
□木製サッシュ取付(10.12.05)

 工事は木製サッシュの取付工事まで進みました。
工事は引き続き内・外装工事の為の下地へと
進みますが、屋根が仕上り壁に断熱材が入った段階で
中間検査として木構造と屋根の検査を受けます。


△前面道路より全景

△1階リビング                    △2階より1階リビングの吹抜

△1階リビングより2階通路の見上△2階通路より吹抜と天窓 △2階通路より吹抜上部

△前面道路より雪化粧(12月9日)

□階段施工(10.12.15)

階段が完成し、手摺も形になりました!
腰壁の板張り作業もスタートしました。


          

          

          
 完成!


 腰壁の板張り作業中・・・

□ラストスパート!(10.12.25)

クリスマスの今日も、I邸の工事現場は最後の追い込み工事中です。
建物はシートですっぽりと覆われて外から見えませんが、外壁等は既に
仕上がっています。
内部も木部の塗装工事が大体終わり、いよいよ塗壁工事がスタート!と
いうところです。設備や家具も取り付けられました。


▲シートで覆われたN邸(前面道路より)

▲外壁や、建具等の外装工事は完了

▲居間天井を見上げる

▲洗面脱衣室           ▲浴室               ▲台所
□現場見学会(10.12.30)

今年も残りあとわずか、というところで、今日はIさんと現場見学を
行いました。窓から見える雪景色がとても綺麗でした。




▲最後の仕上げ工事中

▲居間

▲台所               ▲2階廊下西側の窓

▲2階子供部屋からの景色
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