2011.11月の先週のハイライト

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2011.11.04

6月以来、半年ぶりの《先週のハイライト》です。
その間、色々あったような気もしますが、
《ハイライト》と呼べるような出来事は、
今でも思いつきません。
名前の付け方を誤ったのかも知れません。
『パンパカ・パァーン』といった鳴り物が
頭をよぎってしまいます(古い!!!)
もっと、ユルゥーイ名前の方が良かったのでしょうね?
3/11以降は特にそう思うようになりました。
間が空くと、言訳から始まるのも、
恒例のパターンになっていますね(笑)?

そんな訳で(どんな訳?)、今週のお話は
《ハイライト》と呼べるような内容ではありませんが、
まずは、聞いて(見て?)下さい。

2ヶ月前に、西野の家(我家)のお隣がお引越して
『売地』の看板が立ちました。
1ヶ月経つと、建設会社が挨拶に来て、
解体工事が始まりました。
10日程で更地になると、今まで、誰も見たことのない
西野の家の『東立面』が現れました。
図面や模型では見ていたはずですが、
やはりそれは、始めて見る立面でした。
そういえば、30年以上前に東京の友人に
設計した住宅の写真を見せた時に、
「北海道はいいな、立面が見えて」
と言われた時のことを思い出しました。
そうです、東京の建物は立面図のように
立面が見えることは稀なのです。
ほとんどが道路に面する立面しか見えず、それも、
4M道路に3階建ともなると、
魚眼レンズでしか見えないような
歪んだ姿になってしまいます。
西野の家の東立面も、ヤット陽の目を見ることが
出来たのです(東ですから朝陽ですネ!)。
朝陽を浴びて恥ずかしそうにしている姿を、
5年前から繁りだしたツタが、
ソット優しく包んでいるようでした。
いつまで見ることが出来るか判りませんが、
お隣に家が建つまでは、毎日のように
見てあげたいような気がしています。







2011.11.14

《続・見えない立面》

先週と今週は、先輩方の講演や展覧会があり、
いろいろなお話を聞くことができました。
なかでも、ギャラリー創で行われた
画工房の豊島さんの作品展のオープニングパーティーで、
構造設計パートナーJSDの徐光(ジョコウ)氏と
お話していた時に
「私は豊島さんの作品が大好きです。なぜなら彼は
どんなところも気を抜かずにデザインするからです。
『誰も見ないから、いいよ』という建築家を、私は信用しません」
と言われ、誰にも見られず23年間建ち続けた
西野の家の東側の姿を思い出し、
人知れず、ホッとしました。
北海道工業大学であった、圓山彬雄(マルヤマヨシオ)氏の
講演会からも力強いメッセージを受け取ることができました。
『建築にできること〜持続可能な・・・』
というタイトルの内容は、これから社会に出て
建築に携わる学生たちに送るエールに
満ちたものでしたが、同じ時期に独立し、
3年間同じスペースで設計をした私にも、
心に沁みるものでした。
1時間半のうちの大半を、20年間続けてきた
RCブロックの住宅と北海道の風土の事を、
熱っぽく語っていましたが、後半20分に突然、
『本当に話したいのは違うことなんだ!』
『《人と物との関係》が、建築を持続させる
唯一の原動力だ、ということを忘れないでほしい』
と話し始めました。
建築を愛する人たちによって、建築は生き延びるし、
その力を持っている建築だけが生き延びる。
決して、《技術=文化》だけではなく、
《知恵=文明》によってこそ、真の持続は可能になる、
という主旨に発展し、現在進行中の工事現場の
ハプニングで出会った光景に、人間の想像を遥かに超えた
物としての建築の力を感じ
『この力を持った物だけが《遺跡》として生き延びる
可能性を持っているのでは?』
と講演を締め括りました。
最後の言葉は、あたかも自分に言い聞かせている
ようにも思われました。
建築家は《想像》を超えた《創造》をもつ努力を
持続する職能ということです。
災害や社会不安などで、先の見えない今日この頃ですが、
自分の中にある遺伝子(=知恵=文明)に
忠実に物を創ることが求められているような気がしました。



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